年収は高いけど、手取り収入では税負担が大きい。
思ったより貯金額が貯まらない。
しかし老後に生活水準を一気に落とすのは難しいから投資をしようかな、と思っている歯科医は多いと思います。
筆者も税理士という職業柄、収入面で同じような事を考えます。
投資に知識は必要ありませんが、今後の人生100年時代を考えるに投資は必要となってきます。
当記事の内容
- なぜ投資は必要なのか
- インフレにそなえるため
- 収入の2割を貯金しても40年で8年分の生活費
- 長生きリスクにそなえるため
医師は生涯職です。
特に歯科医は予防医療を考えると安心感は高いです。
従って一生現役で働くことが可能ですが、やはりゆったり豊かな老後は過ごしたいもの。
2分ほどで読めますし、投資の必要性をかんたんに紹介しております。
ニュースでも年金2000万円問題と投資が取り上げられています。
投資の必要性を理解する参考になれば幸いです。
目次
投資が必要な理由は、自分の資産を守るため
収入という面において医師は有利です。
もちろん生活レベルや年齢、開業医・勤務医により差はありますが貯蓄も余裕があります。
しかし、貯蓄のままでは資産の維持が厳しくなる時代は近づいてきています。
何かというとインフレですね。
インフレについて少し考えてみましょう。
投資はインフレの備えになる
ここでの投資は株式や債券といった伝統的な投資です。
長期で見た場合、投資はインフレを内包します。
株式は例えばインフレでドコモが通信料を上げたら株主には何もせず利益を享受できるというもの。
債券はインフレより低い利回りのものって、誰も買いませんよね。
バブル崩壊後以降、金利はどんどん下がりリーマンショック以降はゼロ金利となりました。
日本は30年近くに渡ってデフレを経験してきています。
つい忘れがちになりますが、それまでは猛烈なインフレがあった事を思い出してみましょう。
過去のインフレ
良くネットでも、昔は郵便局の定期預金で6%、7%が当たり前だったというのは目にしたことがあるはず。
つい最近、筆者の父親と話していたら、自宅を建てた時は住宅ローンが8%だったと聞いて驚いたことがあります。
それもバブル前の話です。
それくらい日本もインフレが当たり前だったという事ですね。
インフレになるとどうなるかというと、モノの実質価値が下がります。
50年前の1万円と、現在の1万円では大きく価値が変わってしまいます。
インフレの脅威
例えば昭和40年の1万円は、消費者物価指数で見ると現在の4万2千円の価値になります。
60年でお金の価値が四分の一になったという事ですね。
昔1万円あればたくさん変えていたのに、食料品や嗜好品が買える量は激減します。
参考:日本銀行-昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?
低金利時代を抜いて考えると、バブル期の高インフレ時代は1万円の購買力を四分の一にするという恐ろしい破壊力を持っていた、といえますね。
現在、政府が目指す2%のインフレです。
これが36年ほど続くと1万円の購買力は二分の一になります。
日本という少子高齢化社会が成長するには最低でも2%と国が掲げているのですね。
人生100年時代といわれ、健康寿命も延びていく中、せっかく貯めたお金を普通に貯蓄しておくと、インフレにより資産が削られていくのは間違いありません。
仮にゼロ金利が続いた場合は、日本の成長がないという事で、良い未来はみえません。
どちらにせよ、インフレというものを考えて資産形成や保全をしていく必要があります。
では、インフレ対策として何があるかというと投資という部分に戻ります。
株式の歴史を見ると、200年の歴史の中で常にインフレを上回っています。中長期の債券もインフレに負けていませんよね。

投資だけでなく貯蓄をした場合も見えおかないとフェアではありません。
少し計算をしてみましょう。
収入の2割を貯金しても40年で8年分の生活費
私たちは健康寿命が延びたことで、老後に必要な生活費もながい期間分を用意しなければいけなくなりました。
単純計算になりますが、現金で手取りの20%を貯金していったとしても「8年分の生活費」しか貯まらないという事です。
- 月20%の貯金
- 5ヶ月で1ヶ月分の生活費(5×5ヶ月)
- 5年で1年分の生活費(1×12ヶ月)
- 40年で8年分の生活費(5×8年分)
手取りの20%を想像していただくと分かりやすいのですが、かなりの金額ですよね。
生活が苦しくはありません。しかし諦めるレジャーや旅行のグレードは少し下げるようになる感じでしょうか。
ごく一般的な老後は十分に過ごせますが、現役時代の生活レベルからどれくらい落とせるかも考える必要が出てきそうですね。
参考までに2060年の人口動態です。

引用元:国立社会保障・人口問題研究所
75歳まで働いたとしても85歳以上までは十分に長生きをする事がイメージできます。
医師の年金は「収入」ほど恵まれていない点に注意
累進課税は高収入になるほど所得税を納めます。
これは実際に感じていることでしょう。
忘れがちなのは年金です。
高収入なほど、年金もたくさん納めており豊かな老後かというと現実は違います。
年金は2階建て、3階建てとよく聞きますが、下記の3つがあります。
- 国民年金(老齢基礎年金)
- 厚生年金(2階建て部分)
- 私的年金(3階建て部分)
国民年金は国民が同じ金額ですね。40年満額を納めると毎月64,941円を終身で受け取ることができます。
※2019年6月時点
問題は厚生年金です。
勤務医の方が受け取る二階建て部分です。
毎月の給与収入に対して厚生年金は増えていくのですが、等級で分かれており最高は31等級(62万円)で頭打ちになってしまいます。
これは年収750万円前後と同等の金額しか受け取れないということ。
払う金額は同じなので損をしているわけはありませんが、思っている以上に年金受取額は少ないというケースも。
以上を考えると、それなりに豊かな老後を暮らそうとすると、早くからお金の準備をしておいた方が良いように思いますよね。
子供がいる家庭では教育費も考えると楽に老後資産を準備できると自信を持てる方は少ないのではないでしょうか。
投資は長生きリスクにそなえる事に向いている
分散された株式投資は、長期であればあるほど人生の後半で複利効果を見せてくれます。
それは紹介した画像を見て分かる通りですね。
株式を保有する意味を考えてみると以下のようになります。
- 株式会社は株主のもの。もちろん企業の利益もすべて
- 代わりに株主は倒産など有限のリスクを背負う
- 企業の寿命はそれぞれだが資本主義全体では成長を続けている
- インフレで上がった値段は企業が転嫁をしてくれる
- 常に競争をする事で、様々な分野で成長を受けられることがある
全世界の株式に分散投資をしていれば、倒産リスクの心配もなく成長をうけとることが出来ますね。
年金と貯金をベースに、インフレ対策にも投資は利用したいところ。
また、年金の運用をしているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、2014年に国内債券に偏った運用を改めています。
これは年金給付を維持・存続させるためです。
参考:日本経済新聞-GPIF、運用見直しを決定 国内株25%に引き上げ
私たちは年金でさえ長生きリスクと向かい合う時代を生きているのですね。
投資に知識は必要ありませんが、投資は必要という事になります。
まとめ
記事をまとめますと以下のようになります。
- 投資が必要な理由は、自分の資産を守るため
- インフレで目減りする力を侮ってはいけない
- 政府が主導してインフレをすすめている
- 収入の2割を貯金しても40年で8年分の生活費
- 医師の年金は「収入」ほど恵まれていない
投資はもちろんリスクがありますが、何もしない事もインフレ等のリスクをうけます。
また、収入に対し年金で受けられる恩恵は少ないです。
以上を考えると、金額は少なくとも少額で始める方が良さそうです。
非課税の恩恵が受けられる「つみたてNISA」を利用して投資に慣れていく。

幸いなことに健康寿命が延びた分、時間はありますので投資を利用して資産形成をしていきたいですね。
本記事が参考になりましたら嬉しい限りです。